思い出備忘録2
彼女は付き合ってしばらくするとある部署に配属となった。
彼女とは、部署もフロアも違っていたので、直接会社で会うことは稀だった。
付き合っていることは社内の誰にも言わなかった。噂になるのが嫌だったし、少し照れがあったと思う。今となれば言わなかったことを後悔しているが。
配属されてから、彼女はなにやら同じ部署の先輩《男》と仲良くしていた。まあ、彼女が配属された部署は年齢の若い人が少ないので、年齢の近い彼と仲良くするのは普通のことだろうと私も考えた。
彼と彼女は偶然家が近かった。なので、帰り道が一緒になれば、彼と彼女はよくご飯を食べに行っていた。
最初は気にしていなかったが、だんだんとその頻度が上がるにつれて私は違和感を覚えた。
最後は毎週ご飯に行っていたので、さすがの私もおかしいと思い、その事について問いただした。
しかし彼女は「だって帰り道が一緒になるんだもん。別に行くのは普通のことでしょ。」この一点張りだった。まあそう言われるとその通りなのだが。
まあ、彼が彼女の帰る時間に合わせて帰っていたのだろうことは簡単に想像できたが、それを言っても、もちろん聞く耳は持たなかった。
そしてある日のデート中。彼女の顔が異様に暗かった。たまーにデート中に機嫌が悪いことはあったので、またか?とも思ったが、いつも以上に上の空のように思えた。イヤな予感がしたが、私はデートの終わりに尋ねてみた。「なんかあったんやろ」
彼女は「聞かない方がいいよ」といった。瞬時に理解した。
「彼のことが気になってる」
目の前が真っ暗になった。やっぱりか。いろんな感情が湧きあがった。この日から地獄とも言える日々を過ごした。
あの日以来、1ヶ月色々あったが、結果的に私たちは別れ、彼女は彼と付き合う事になった。
別れた日から私はしばらく屍のようになった。彼女を責めたい気持ちになった日もあれば、自己嫌悪に陥った日もあった。眠れない日々が続いた。ネットに未練を断ち切る方法や、別れた原因を求めたりもした。友達に相談もした。
皆は口をそろえて言う。そんな女と別れてよかったじゃん。悪い女に引っかかったな。こんなことを言う人もいる。お前と彼女は運命じゃなかったんだよ。タイミングが悪かったんだよ。
別れてしばらくして冷静になった今思う。
果たしてそうなのだろうか。たしかに彼女は心が移りやすい優柔不断なタイプなのかもしれない。
しかし私に、絶対的に私に魅力があれば外に目が行くこともないだろう。
そう、「人は魅力でしか縛れない」
結婚という法的な縛り、ましてや付き合うなどという薄っぺらい口約束では人を引きつけることは出来ない。自分の魅力で引きつけることしかできない。
実際、私はダメだとわかっていながら完全に非モテコミットしてしまっていた。
今考えたら本当にバガた。なぜか彼女なら大丈夫と自信に満ち溢れていた。結果彼女は旅立っていった。今はその事を非常に後悔している。
正直まだまだ引きずっているが、これから魅力を上げていくことを誓った今回の出来事だった。
この出来事、思いを忘れずにいるためにここに記しておく。